2012年度東大入試 国語分析(文系・理... Z会東大対策ブログ~Z会から赤門突破~
こんにちは。
2012年度東大入試の国語について、文系・理系をあわせて、Z会国語・小論文課より以下にコメントいたします。(速報的なコメントとなります。正式な入試分析結果については、後日別途お知らせいたします。)
■総評
・今年度は非常にオーソドックスな出題で、全体の難易度も過去の出題に照らして標準的なものでした。レベル・ジャンル・設問形式とも、従来の出題形式に沿ったもので、過去問や予想問題を中心とした東大国語の実戦演習をしっかり積んできた受験生であれば、どの設問にも十分に対応できたはずです。
・「東大国語の対策をしっかり積んできた人とそうでない人とで、差がつきやすい出題だった」といえます。
・こういった出題では、答案作成の段階でどれだけ細部までしっかりと書けているかで、得点差がつくものです。「読めたつもりだが、書こうとすると手が止まる」のが東大国語の特徴です。
・Z会の通信教育などで添削指導をしっかりと受け、自分の答案が採点者に客観的に伝わるものになっているか、第� ��者の視点からの厳しいチェックを長期間にわたって受けてきた受験生と、そうでない受験生との間では、それぞれの設問の小さな得点差が積み重なって、相応に差がついたのではないかと考えられます。
・高2生、高1生のみなさんへ。今年度の出題は、東大入試国語の典型的な出題であり、「ちゃんと勉強をしてきた人であれば、しっかりと得点できる」4題のセットです。「国語は勉強してもしなくても同じ」といった迷信には絶対に惑わされないでください。今年の出題のレベルが、みなさんが目指すべきレベルになります。自分で手を動かして、答案を作成してみてください。東大国語は、「読んで分かった気になる」だけじゃダメですよ。必ず書いてみましょう。なかなか書けない、ということを実感するところから、ス� ��ートしましょう。
私がしなければならない場合、私は言葉を使用します。
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■現代文(文理共通 出典:河野哲也『意識は実在しない』)
問題文は2012年度の早稲田大学教育学部の(一)とほぼ同一箇所からの出題でした。
今日の環境問題の背景にある、物心二元論を前提とする近代科学のあり方を批判的に考察するという、入試現代文の定番中の定番テーマでした。Z会の本『現代文キーワード読解』第2章「科学」にまとめられているレベルの、入試現代文の「常識」を前提として知っている受験生であれば、内容理解に苦労することは全くなかったはずです。ちなみに科学論については1996年度、環境問題とその背景にある思想的なテーマについては、2000年度・2004年度にも東大現代文では出題されています。(なお、Z会東大マスターコースの東大国語講座テキストでは、すべて最重要過去問として1学期・夏期講習の授業で扱っています。)
(一)「物理学的世界」と「主観的世界」の対比の軸を見抜き、必要な要素を手際よく見極めます。
(二)「自然そのものに価値はなく、そこに価値や意味を見出すのは人間という主体である」というここまでの議論に即して、説明します。
(三)は理由説明、(四)は内容説明となっていますが、それぞれの傍線部を含む意味段落の内容をもとに、解答に必要な要素を吟味します。(四)を適切にまとめるのに若干苦労した受験生も多かったのではないでしょうか。
(五)解答に際しては「生態系」という概念の説明が不可欠です。傍線部には直接登場しないのですが、この要素が必要という点をしっかり意識できたかがポイントとなったでしょう。
(六)漢字は一問も落としてはいけないレベルの出題でした。
尊敬の意味は何ですか
■古文(出典:『俊頼髄脳』 問題文は文理共通で理系は(三)(四)の設問なし)
歌論からの出題は1999年度以来ですが、和歌を含む物語は近年でも頻出です。和歌を含む出題への対策は、東大古文では今後も依然として重要です。
「東大受験生であれば内容理解には苦労しないレベルの文章を素材に、内容をふまえて適切に日本語で表現する段階で、しっかりと差をつける」という、これまた例年どおりの出題といえます。また、説明問題の設問の解答欄は全て1行しかなく、必要な要素を見極め、端的に説明する力が問われます。
1914年に使用されたトランスポートのどのタイプ?
(一)アは「事」「わづらひ」といった基本的でかつ多義的な語句をどのように訳すか、文脈をふまえて考える力が問われました。
イは「えせぬ」をしっかりと「不可能」で訳出します。「凡夫」は仏教用語ですが当然知っておきたい語句で、これも文脈に照らして訳出することが求められます。
ウは一見何でもないような個所ですが、この文脈での「たふる」「したがふ」の内容を正確に理解できたかで、差がついたと思われます。やや難しい問題でした。
(二)「どういうことか」の説明問題です。単なる現代語訳ではありませんので、設問の意図をふまえて「何がどうだった」という方向でまとめます。解答の方向性を見極めにくく感じた受験生も多かったのではないでしょうか。
(三)内容理解をストレートに問う問題です。
(四)一言主の現在の状況についての箇所であることをふまえ、「ひまはざまもなくまつはれて」を「ひまはざま(隙・狭間)=すきま」「まつはる」という語句に分解してどのような状況なのか考えます。直前の「その神はおほきなる巌にて」「葛のまつはれて」もヒントにします。
(五)和歌の解釈の設問です。「歌を詠んだ女房がどういうことを告げようとしているか」という、ストレートな設問要求にとまどった受験生もいたかと思います。「一言主の神は容貌が醜く、それを人目にさらすことを避けるため、昼間は現れなかった」という(二)(三)の設問が手掛かりになっていたと気がつけたでしょうか。また、一言主の神が女神であることが注では示されています。これらを手がかりにします。これは難しい問題でした。
■漢文(出典:『春秋左氏伝』 問題文は文理共通で理系は(三)の設問なし)
今年度は漢詩の出題はありませんでした。君臣関係における「同」と「和」の違いを、料理の例えを用いて論じた文章です。「対比」を軸とし「例え」を用いて展開する論の構成においても、また「臣下は君主に雷同するだけではなく、必要であれば君主に異論も唱えることで、良き統治が実現される」というテーマにおいても、非常に「漢文らしい」オーソドックスな出題です。同じようなジャンルの文章の読解経験を積んできた受験生であれば、十分対応できたのではないでしょうか。
(一)調理を例として論じている箇所であることをふまえ、「及ばざる」「済す」「過ぐるを洩らす」といった表現を通してどういうことを言おうとしているのか、つかみます。また、「どういうことか。簡潔に説明せよ」という設問であり、単 純な現代語訳問題ではありませんので、「料理の味を調える」という要素も必要でしょう。
(二)(ア)理想的な君臣の関係のあり方について述べた文章であることをふまえて「可」「否」という漢字の適切な意味を考えます。漢字の一つ一つについて、論の主題をふまえて丁寧に訳出します。
(イ)は内容がしっかりと読み取れていれば迷わず抜き出せたのではないでしょうか。
(三)調理を例えに用いている箇所だという文脈をふまえて訳出します。解答欄は1行しかなく、反語の訳出に際しては「~だろうか、いや~だろう」と書く余裕はありませんので、ストレートに「誰も食べられない」という方向で訳出して構いません。
(四)ここまでの読解が正確にできていれば、「拠」という人物のどのような態度を問題としているかは、つかめたはずです。端的にまとめます。
■文系現代文(出典:河野裕子「ひとり遊び」)
短歌を含む、歌人の随筆からの出題。
文系現代文では頻出の、詩・短歌といった韻文と関連のある文章からの出題でした。(三)は短歌に表現された情景を説明する問題で、こういったタイプの設問に対してどのようにアプローチしていくか、類問での演習経験の有無によって差がついたでしょう。このタイプの設問の出題は久々なのですが、少し遡ると1999年にも出題されています。(この問題も、Z会東大マスターコースの東大国語講座では、最重要問題のひとつとして春期講習に扱います。)
文章全体を貫く想念の流れをおさえ、修辞的な表現も多く含む傍線部について、適切に説明を行います。解答の方向性自体がつかみにくい極端な難問はないものの、全体を通して、柔軟な日本語表現力がないと解答作成に苦労してしまう、例年の文系現代文らしい設問になっています。
以上です。
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