2012年5月3日木曜日

Vt.day


vt.day

 

 

 

 

 

Vt. Day

 

 

 

 

ある昼下がり。今日もトレーニングに励む姿が見られる。

「だるいな

道徳はそう愚痴をこぼしながらも、運動は怠らない。

偶然通りかかった天化は、一瞬自分の耳を疑った。

「何言ってるさ?」

「て、ててて、天化っ!?」

独り言に思わぬツッコミを入れられ、道徳は慌てて言った。

「あ、あのな!今のはそういう意味じゃなくってだなっ!!」

「・・・・俺っち、まだ何も言ってないさ」

必死に誤魔化そうとしているらしいが、天化には大体察しがついていた。

しかし、ここで言ってしまえば目の前の師は真っ青になる事だろう。

少なくとも向こうはまだ自分を子供だと思っているのだ。

天化はため息をつくと、茶の用意をしはじめた。

 

「・・・・・・・何で三人分あるんだ?」

横目でそれを眺めていた道徳は怪訝そうな顔をした。

湯飲みが三つ置いてある。ちなみに点心は天化のお手製だ。

「何でって・・・今日はあの人が来るさ」

あの人、と聞いても道徳はいまいちピンと来ない。

(太乙かな?でも、昨日来たよなぁ・・・それじゃあ・・・・)

悩み込む道徳を見て、天化は呆れた。

「コーチ・・・今日が何の日だか忘れたさ?」

「何の日なんだ?」

「昨日太乙様が何て言ったか覚えてないさ?!」

「えっ?た、太乙?」

確かに、太乙は何かを言いに来ていた。

その後、ナタクに殺されそうになりながら、乾元山に戻っていった。

何かを言いかけていたが、その肝心な話の内容が思い出せない。

きっと自分に関係のない事だったのだろう、と道徳は思った。

「悪い、天化。実は覚えてないんだ」

この際ここで聞こうと思い、道徳は顔を上げた、が。

「何が?」

目の前にいたのは自分の愛弟子・・・ではなく、雲中子だった。

相変わらず怪しげな笑いを含んでいる。

「っでたあああああ!!」

某スプーキーの登場で、道徳は軽く2メートルは跳び退った。

「失礼ですねぇ、人の顔を見て"出た"とは」

人をバケモノのように・・・と呟く雲中子を見て、道徳は思う。

(それ以上に恐ろしいんだよ、オマエは!!)

それを敢えて口に出さないのは、日頃の経験から来るものだった。

 

この目の前の変人のおかげで、道徳の平穏な毎日は崩れて行ったのだ。

顔を合わせれば実験体にされ、しかし問題の道徳も三日後は綺麗さっぱり忘れている。

道徳はよくそれで太乙にからかわれたが、それでもまんまと罠にかかってしまうのだった。

 

「道徳、お茶が冷めますよ」

しばし思い出に浸っていると、不意に声をかけられた。

「な・・・なんでちゃっかり座ってんだよ、オマエは!」

日々楽しみにしていた3時のお茶が・・・と道徳は唸った。

このままでは危ない。そう悟ったが、もう遅かったらしい。

雲中子はにんまり笑うと、持っていたそれを机の上にのせた。

一見はただの箱だ。が、雲中子が持ってきたとなると話は違う。

その大きさからして、またバイオキシンかその類だろう。

とりあえず一番離れた席に座ると、恐る恐るお茶を口にした。


2滝

 

どれくらい経っただろう。天化はそそくさと修行へと戻って行った。

そんな弟子を羨ましく思いながらも、道徳はちらりと雲中子を見る。

―――――何で開けないんだ?

何かがおかしい。嫌な予感がして、道徳は思わず身震いした。

その視線に気付いたのか、雲中子は顔を上げた。

「何か?」

「・・・それ・・・一体何なんだよ?」

道徳は優著したが、すぐにその白い箱を指差した。

ああ、と今頃気付いたように、雲中子はそれに手を伸ばす。

開けるか、と思ったら、そのまま箱を道徳の方に押し出した。

「どうぞ。気になるのなら自分で開けて下さい」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

(わ、罠だ・・・・コイツは絶対何か企んでいる・・・・)

怪訝そうに雲中子の方を眺めると、向こうは上手そうに茶を啜っている。

道徳はしばらくそれを交互に見ていたが、好奇心には勝てない。

覚悟を決めると、勢いよく蓋を開けた。

 

「・・・・・・・・・?」

 

茶色の物体。甘いにおい。これはひょっとして・・・

 

 

「良いチャンスじゃないか!!」

太乙はそう言うと、勢い余って、バンッと机を叩いた。

それに道徳は思わず飛びのいたが、太乙はお構いなしに続ける。

「長年の思いを叶えるには、これしかないよっ!」

「・・・・何のだ?」

その言葉が明らかに自分をい指している事を承知で、道徳は聞いた。

太乙はにやり、と笑うと、そのまま道徳の肩を掴んだ。

「ふん、私に聞くんだ?

この友人はこういう時に限って意地が悪い。

内心冷や汗をかいているであろう道徳を面白そうに眺めながら、太乙は言った。

「それなら、私がありがたく頂いちゃうけど?」

「そっそれは駄目だっ!!」

道徳は真っ赤になりつつも、慌てて太乙に向かって怒鳴った。

太乙は一瞬呆気に取られたが、すぐに吹き出した。

「・・・何勘違いしてんの?私が言ったのは、君の事だよ」

あんな変人、死んでも襲わないから安心しなよ、と太乙は肩を震せて笑いをいかみ殺している。

「・・・笑いたきゃ笑えよ・・・・」

はめられた事に気付き、その反面自分の想像力を呪う道徳であった。

「ごめんごめん。ちょっと調子に乗っちゃった」

ちょっと所じゃないだろ、と道徳は思い切り太乙を睨んだ。

「それで・・・何の日だって?」

話題をそらそうとしているのが分ったが、太乙は思い出したように答えた。

「バレンタイン!好きな相手にチョコレートをプレゼントする日なんだよ!」

仙女達にとっては一大事だよ、と太乙は肯いたが、道徳はいまいち理解できない。

「・・・・で、なんで女でもないお前が騒ぐんだ?」

「そっそれは・・・」

太乙は一瞬行き詰まったようだったが、すぐに顔を上げた。

「それはね!君が――――

 

 

 

「どうかしました?」

そう言われて、道徳は慌てて目の前の物から目を離した。

太乙が言っていた事が本当だとすると、これは・・・・

チョコレートであったとしたら、これが意味するものはただ一つ。

道徳はびっくりしたように雲中子を見た。

「雲中子・・・お前、まさか・・・・」

「何でしょう?」

何時ものにやり笑いではなく、道徳にはこれがにっこりに見えた。

(今日はやけに優しいんだな・・・こいつ本当は・・・・)

道徳が一瞬にして真っ青になった。

 


"部品のソース" "ナイアガラの滝"

「女だったのか――――っ???!!!」

 

道徳の叫びが青峰山に木霊する。

居間で本を読んでいた天化は思わず椅子からずり落ちた。

こういう師を持つと、とことん大変である。

「コーチ、そこまでは面倒見切れないさ・・・・」

天化は頭を抱え込んだ。

 

 

「私が・・・・女?」

これには流石の雲中子も驚いたらしい。

「あのねぇ、道徳。何を勘違いしているのか知らないけど・・・」

「うわっ、近づくな!!」

隣に座った雲中子から離れようと、道徳はガタンと立ち上がる。

そのまま遠ざかろうとして、倒れた椅子に足を引っかけ――――――案の定、こけた。

「いってー・・・・・・」

そんな自分に呆れながらも、道徳は雲中子が恐ろしかった。

(この変人が実は女で、しかも自分に好意を寄せているだとぉ?!)

それ以上想像したくない、とばかりに道徳は頭を振った。

「地面に這いつくばっていて、楽しいですか?」

後から雲中子は心配して(少なくとも本人は)そう声をかけたが

「放っとけ!あっち行けよ!!」

起こそうとして、凄い勢いで道徳に突き放された。

道徳はというと、あっけなく雲中子がひっくり返ったのを見て、驚いた。

本人にそのつもりはないが、道徳は日ごろ鍛えている所為もあり、かなり力はある。

その反面、雲中子は実験実験で室内に篭りっきりが多かった。

大丈夫か?と聞こうとしたが、その前に雲中子が言った。

「分りました」

何が分ったのか、と道徳は歩いて行く雲中子を見た。

「邪魔をしましたね」

「・・・・帰るのか?」

何時もなら必ず実験体にされる筈が、今日はやけにあっさりとしたものだ。

道徳は不審に思いながらも、雲中子は女だったのかな、と考えていた。

 

 

しばらくして、天化はやけに静かだという事に気付いた。

何せ道徳は静けさとは、全くと言って良いほど縁がない。

はっきり言えば、この方が心地は良いに決まっていた。

読んでいる書物もまだ途中で、それを放り出して行くの事でもない筈。

(でも、あのコーチの事さ・・・もしかしたら・・・)

どうもその先が気になって、天化は外へ足を向けた。

 

先程の道をたどって行きながら、天化は考えた。

女呼ばわりされた雲中子さまはどうしたのだろう、と。

もちろんそんな事はある筈がない、あってはいけない。

それでも一瞬想像してしまい、背筋が寒くなった。

「はは・・・気色悪いさ・・・」

「悪かったな」

「ぅわっ?!」

何時の間にか目の前に道徳が立っていて、天化は思わず持っていた本を落とした。

「・・・何でもっと早く教えてくれなかったんだ?」

道徳は恨めしそうにそう言うと、箱をずい、と目の前に突き出した。

「それ・・・・」

太乙から聞いていた話とは何処かが違う。

確か今日は・・・と悩み込む天化を見て、道徳は急かした。

「だから!なんで雲中子は女だって言わなかったんだよ!」

「・・・コーチ・・・それは違うさ」

しかし、何故雲中子はチョコレートなんて持ってきたのだろう。

太乙は天化に、道徳の手伝いをしろと言われていたのだ。

「???」

謎は深まるばかりである。横では、道徳が困ったようにチョコを眺めていた。

 

 

「ふーん、それで、どうしたんだい?」


なぜセルビア人はアルバニア人が嫌いか?

乾元山金光洞にて。どうしていいものか分らず、天化は太乙を尋ねた。

最初は嬉しそうに話を聞いていた太乙だが、肝心な所で天化は一瞬止まった。

「・・・・コーチ、雲中子さまの事」

「うん?」

「・・・・・・女、って言ったさ・・・」

太乙に反応がない事に気付き、天化はちらりと顔を上げる。

案の定太乙はそのまま固まっていた。

「た、太乙さま?」

「・・・・・・・・どーとくの馬鹿ぁ・・・」

たっぷり一分は間を置いてから、太乙は独り言のように呟く。

道徳は一体何を勘違いしたのだろうか。そう考える内に、太乙は青くなった。

不思議そうに見ている天化の方を向くと、こう言った。

「あんな事言わなきゃ良かったかなぁ・・・」

「何をさ?」

薄々そうだろうと思ってはいたが、天化はとりあえず聞いてみた。

太乙はふと首をかしげると、何か思い付いたかのように笑った。

それを見るたびに、雲中子のにやり笑いと良い勝負だと天化は思う。

「ふふふっ、気になるんなら出てきなよ」

太乙が話し掛けているのは窓・・・と見ているうちに、道徳が顔を出した。

「コーチ!付いて来たさ?」

「・・・・なんで何時もばれるんだ?」

道徳は気配を消していた筈だが、太乙は騙しきれなかったらしい。

心底悔しそうに聞く道徳に、太乙は笑いかけた。

「それがかえって怪しんだよねー」

何年君の友人やってると思うんだい、と太乙はしみじみ言った。

「相変わらず無駄に勘が鋭いよなぁ・・・」

「私は君が無神経なだけだと思う」

二人のやり取りを見て、やっぱり太乙さまは凄いと思う天化だった。

師は確かに無神経ではあるが、それを面と向かっては言えない。

太乙はふぅと息をつくと、今度は同情したような口調になった。

「で?君はどんでもない勘違いをしたらしいね」

勘違いと聞いて、道徳は雲中子が女ではない事を確認した。

それはそれで良いのだが、それでは説明が着かなくなる。

「あれほど君にチョコを用意しろって言ったのに」

「・・・・太乙さま、それ言ってないさ」

昨日の事を思い出しながら、天化は口をはさんだ。

あの後ナタクが来て、それ所ではなくなってしまったのだ。

「あ、あれ?そうだっけ」

「何か言いかけて逃げ帰ったのは誰だよ!」

道徳には、この際全てが太乙の所為だと思えてきた。

「それは災難だねー。なんか雲中子が可哀相に思えてきたんだけど」

「じゃあ、俺はどうすればいいんだ?」

女呼ばわりされた雲中子は、今ごろ自分へと復讐劇を練っているに違いない。

そう考えると、一刻も早く解決しなくてはいけない気がした。

「あぁ、それは簡単だよ。」

太乙は楽しそうに笑うと、こう切り出した。

 

 

大分冷え込んで来た。2月の、しかも夜に出かけるのは良い考えではない。

道徳は黄巾力士を運転していた。風邪が身を切るように吹き付けて来る。

片手に抱えたそれにちらりと目を向けると、道徳は道を急いだ。

終南山玉柱洞に着くと、既に明りは消えている。道徳は早速ノックした。

 

そこまでは良かったのだが、いくら待っても返事がない。

本当に寝てしまったのか、と道徳はうなだれる。

一瞬ここで引き返そうと思ったが、太乙の言った事を思い出す。

「今日が肝心なんだよな、うん」

今度は少し強めに叩いてみると、ドアが自然に開いた。

不用心な、と道徳は思ったが、のこのこ入って行く自分はそれ以上に不用心だ。

しばし闇を進んでいると、後でガタリと音がして、道徳は飛び上がった。

道徳はお化けだのそういう種類に弱い。後をふり向く気には到底なれなかった。


にゅるにゅると何かが移動しているのが分る。

「う、雲中子・・・?」

そうであってほしい、と道徳はこの時初めてそう思った。

突如、にゅっと手が伸びてきて肩を捕まれた。

「うわあああ!?」

「・・・・道徳、こんな所で何してるんです?」

パチッと明りが点くと、雲中子が呆れたようにこちらを見ていた。

その足元には音の根源、例のバイキシンZがうねっている。

「泥棒だと思いましたよ」

それならば実験台にしていたであろう、雲中子は残念そうに言った。

「・・・今日は、悪かったな」

「何がです?」

綺麗さっぱり忘れている様子に、道徳はたじろぐ。

「だから・・・その、勘違いしたみたいで」

「ああ、あの事ですか」

本当に思い出したのかは不明だが、雲中子はそれらしい返事をする。

「俺が悪かった!だから、これ・・・・」

詫びだ、とばかりに道徳はその包みを押し付けると、出口へと急いだ。

恥ずかしいのもあるが、何よりも雲中子がそれを開ける前に立ち去りたかった。

外までもう一息、という所まで走ると、何かを踏みつけたらしい。

恐る恐る下を覗くと、足にからまったバイオシンZが目玉をくりくりさせている。

「な、何だよ・・・・」

雲中子に言わせれば、これはこれで愛敬があるらしいのだが、道徳には到底そうは思えなかった。

それが事もあろうに、ねばと触手を伸ばして来たのだ。

アメーバが食物を取り入れる姿を想像し、道徳はパニックに陥った。

「やめろ~~!!俺は食い物じゃないんだっ!」

じたばたしていると、その内に生物は退いて行く。

不思議に思い、顔を上げると、雲中子がにたりと笑っていた。

ああ、また実験体にされるのか・・・と道徳は逃げ切れない事を覚悟する。

「何脅えているのですか?今日は実験しませんよ」

「・・・・本当だろうな?」

「勿論」

不審に思いながらも、道徳は言われるままに雲中子の後に付いて行った。

 

 

金光洞にて。天化は楽しそうに盗聴していた太乙に聞いた。

「コーチ、本当に大丈夫さ?」

「当たり前だよ!雲中子はあれでも道徳にベタ惚れだからねv」

ふふふと怪しげに笑っている太乙を見ていると、どうも道徳の身が心配だ。

しかし、次の瞬間、雑音が入ったかと思うとそれが途切れた。

「あ!雲中子の奴、気付かれたか!!」

隣で太乙がさも悔しそうにわめいている。

天化は、もしかすると雲中子がある意味一番凄いのではないか、と思い始めた。

 

 

あれからの道徳の運命は想像にお任せする。

 

 

最後、逃げてマス;太乙が多いのは何故でしょうか・・・

 

題名は大して意味は・・・(滝汗)

問題は道徳が違うんですよね・・・全然別人(日本語おかしくなってる)

これ・・・ほんとうに雲道?(自爆)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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